⒈税理士事務所を法人化するには?
税理士事務所を法人化するにあたっては、いくつかの要件を満たす必要があります。
具体的には、その社員が税理士に限られており、社員数が2名以上、またそれら社員に税理士法上の欠落事由に該当する者がいないことなどがあげられます。
税理士法事は合名会社に準じた扱いになる存在です。
それゆえに、その社員は出資者、いわゆる会社役員のような立場に位置づけられることになります。
そしてその存在は、税理士業の独占業を行える唯一の法人であり、2名以上の社員が必要な点が特徴です。
なお、そんな税理士事務所を法人化するという行為には、メリットと同時にデメリットも多くある点には注意が必要です。
そのため、その法人化を検討するにあたってはメリットとデメリットを理解したうえでその判断を下すようにしましょう。
⒉法人化するメリット
まず、法人化に対してあげられるメリットとしては、支店を設置できる、というものがあげられます。
なお、その際には1つの支店に必ず税理士資格保有者が少なくとも1人在籍していることが必要です。
そのため、税理士の先生の数だけ支店数を設置できるということになります。
また、個人税理士として事務所を運営した場合稼げば稼ぐほど税率が上がり、場合によっては所得税と住民税の税率が50%を超えてしまう可能性さえ存在します。
一方で、法人税は基本的に売り上げに関係なく一律で、法人税や住民税、事業税の合計は必ず36%程度でおさまるので節税できる場合が多くある点もその魅力と言えるでしょう。
さらに、決算月を自分で決めることができるのもそのメリットです。
税理士事務所や会計事務所としてその業務を行っていた場合、個人事業主扱いとなるがゆえに毎年3月の確定申告が必須です。
一方で、法人であればその決算期を自由に選択できるようになります。
固定資産の売却などのイレギュラーな行為により多額な利益が得られた場合、その地点で決算することで納税額を抑えることも可能です。
また、数字としてその効果を確認することは難しい部分ではありますが、ブランド力の向上もそのメリットとしてあげられます。
そもそも税理士という資格自体がある程度ブランド力のある職業と言えます。
しかし、複数の拠点で多角的に営業を行っている企業や将来的な業務の引継ぎが生じる可能性などを考慮すると税理士法人を利用した方が、個人事務所を利用する場合と比べて1つの案件を複数人で情報共有しながら担当してもらうことができるので、クライアントからしてみれば大きな安心感を得られます。
それゆえに、依頼されやすくなる点も大きなメリットと言えるでしょう。
このようにそもそも法人化することは、個人でなかなか対応できない多角的かつ継続的なサービスの提供を可能にするために設けられたシステムです。
それゆえに、そのメリットは節税や事業のブランド化や拡大が容易になる点などに集約されています。
⒊税理士事務所を法人化するデメリットも確認
一方で、多くのメリットがある法人化ではありますがデメリットも存在する点には注意が必要です。
具体的なデメリットとしては、法人化に際して株式会社を選択した場合、役員変更が必要になる点などがあげられます。
その手続きの際には、税理士法人の変更登記を法務局でまず行うことが必要です。
さらに、当然ではありますが税理士法人の設立には登記手続きをしなければなりません。
その際には、名称や設立の年月日、目的などを記載する必要があります。
なお、法人化した後には個人事業主と比べてちょっとした変更や解散の際にもさまざまな書類の提出が必要になる点もデメリットと言えます。
これは、メリットとしてさまざまな恩恵を受けられることを思えば当然の代価とも言えますが、気軽にその事業の変更や解散の手続きを行いにくくなることは事実です。
一方で、その特性上税理士法人は必ず複数の税理士同士がパートナーとなってその経営を行わなければなりません。
それぞれの強みを活かして活躍できるのは大きなメリットではありますが、経営方針などをきっかけに仲たがいしてしまうことを避けられないこともあるでしょう。
そのような際の解散手続きも、一度法人化してしまうと簡単にはいきません。
そのため、メリットばかりに目を向けて勇み足で法人化することは絶対にやめましょう。
⒋まとめ
中長期的な視野をもって将来をともに考えていけるパートナーと出会えたてから、法人化を検討するくらいがちょうど良いかもしれません。
また、これはメリットでありデメリットともいえる特徴ではありますが、税理士法人の場合は税理士事務所や会計事務所と違って社会保険に加入できるようになります。
当然なんの負担もなく加入できるわけではないのでその分の事務手続きが増える点には注意が必要ですが、その分だけ求人に対する人気は高まるととらえると、メリットとも言える特徴です。
このように法人化するとその分だけ手続きや事務作業の負担が増え内容が煩雑になる分、さまざまな恩恵が受けられます。
いずれにしても、そのメリットデメリットをしっかり理解しておくことが重要です。
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最終更新日 2025年6月10日 by kairak