一般企業で実用的なUSCPA

日本の公認会計士の資格を取得すると、監査法人に就職しその能力を生かすのが一般的です。

一般企業の経理や経営といった業務を担当したいならば、米国公認会計士の資格であるUSCPAを取得する必要があります。

これを保有していればカナダやオーストラリアなど提携している他の国でも、就職に有利となり幅広く活躍したい人におすすめです。

専門的な資格ではありますが、日本の公認会計士より取得の難易度は低いため挑戦しやすいという特徴もあります。

ただし試験は英語表記なので、語学力を身につけておきましょう。

USCPAの試験には専用のテストセンターがあり、受験者にコンピューターが与えられてそれに回答します。

FARとBEC、AUD、REGの4つの試験に合格すると、資格を取得したことになります。

FARとは企業財務会計や公会計のことで、日本での簿記や公認会計士といった資格の知識が活用できます。

公会計についてはアメリカ政府やNPOに関することなので、一から勉強しましょう。

公会計の配点はFARの20%を占めるため、これをマスターできるかが日本人受験者のポイントです。

アメリカ人受験者は計算問題に弱く、日本人受験者は得意とされており得点源として見込める科目でもあります。

BECはビジネス環境とその概念のことで、商取引に関する知識が広く浅く問われます。

経済学は初歩的で金融知識も日常生活で役立つものが多く、勉強していて充実感があります。

BECでつまずく人は英作文で悩みがちで、論理的に文章を展開することに苦戦します。

アメリカ人受験者にとっては難しくないことなので、知識はあっても日本人受験者が得点を最もとれないという統計もあります。

出題パターンにならって、回答を丸暗記するくらいの努力が必要です。

AUDは監査のことで、日本の公認会計士を持っていれば難易度はやや低いと感じられます。

計算問題に重きを置かず、文章を読んで理解し論理的に答えるのが特徴的です。

これも英語を素早く理解し考えをまとめる力が大切なので、英語への苦手意識を克服しなければなりません。

日本人受験者はアメリカ人受験者よりも、論理的な考え方をするのが苦手ともいわれます。

BECと出題範囲が重なるところもありますが、AUDはより深い知識が試されます。

必要とされる知識量そのものはあまり多くないため、過去問や洋書などを読み込んで理解力を高められるようにしましょう。

REGは法規のことで、膨大な知識量が求められ勉強時間が最も長くなります。

商業倫理やアメリカ連邦税法など、とにかく暗記するのがコツです。

基本的な考え方は日本の税法と同じで、過去に学んだことのある人は有利といえます。

完璧に覚えてしまえば試験自体の難易度は低いため、他の科目に勉強時間を割くことができます。

これらの科目は3つの出題形式に沿って答えていくことになります。

MC問題と呼ばれる4択問題とTBS問題という応用問題、WC問題という論述問題です。

科目によって配点に違いがありますが、全て75点以上ので合格となります。

そして点数には全く関係ないダミー問題も含まれています。

これは正答率を調査するために紛れ込ませているもので、正解でも不正解でも合否に影響しません。

受験生にはダミー問題であるかは知らされないため、全て合否に影響する問題と捉えてこなしましょう。

USCPAの試験制度は2017年に大きく変わりました。

それまでBECとREGの試験時間は3時間でしたが、4時間となって全科目4時間に統一されました。

英語が得意ではない人にとっては、慣れない文章を読むのはとても集中力を使います。

3時間でも長かったですが、4時間に延びたことでより高い集中力を培わなければ実力を発揮できません。

またそれぞれ配点が変わり、暗記だけすれば良いというものでもなくなりました。

応用力を問うTBS問題の占める割合が増え、4択で比較的簡単なMC問題が減りました。

BECに関しては従来は無かったTBS問題を出すようになり、リサーチ問題の対策を行う必要があります。

変更した点で受験者にメリットとなるのは、休憩時間が設けられたことです。

従来は休憩の概念がなく、受験者が休んでいる間も時間がカウントされていました。

2017年からは科目試験の中盤で15分の休憩時間があり、頭をリフレッシュさせたり時間配分を改めたりできます。

中盤以降も休憩を挟むことはできますが、従来通り試験時間としてカウントされるので注意しましょう。

USCPAの受験者を国別で見ると、もちろんアメリカが最も多く続くのが日本です。

しかしアメリカと比べると受験者数は大幅に減り、数千人規模でしか受験していないことが分かります。

日本に続くのが中国や韓国といったアジア勢で、どの国でも女性より男性が多いです。

アジアの中でも日本は突出してWC問題が苦手で、英語への順応力が合格への課題とされます。

 

最終更新日 2025年6月10日 by kairak