1.破魔弓の由来
「破魔弓」とは、男の子の赤ちゃんが生まれて初めてのお正月に贈られるものとしてよく知られていますが、女の子の場合には羽子板になります。
古来から続く日本の風習のひとつで、破魔弓にも羽子板にも厄落としの意味と年占いの願いを込めて贈られてきました。
生まれたばかりの赤ちゃんはまだ小さく体も弱いので、病気などの災いなどが起こらないよう無事に過ごすことを祈って、一年の内で鬼門に当たる時期に用意されたようです。
破魔弓の「破魔」にはその文字通りに魔を破るという意味合いがありますが、昔の人は弓矢で射るその的のことを「ハマ」と呼んでおり、これに「破魔」の漢字を当てたのが「破魔弓」の由来ではないかといわれています。
また平安時代の宮中で行われていた儀式からきているのではないかという説もあります。
これはその当時男子が誕生しますと弓の弦を弾いて音を出すことで魔を追い払っていたといわれる「鳴弦」という儀式があり「めいげん」といいますが、大昔日本では弓といえば狩猟などの武器として使われてきましたが、それが時代の移り変わりとともに弓矢を魔よけの道具として考えるようになっていき一般の人々にとっても身近な守り道具として親しまれるようになっていきました。
さらに弓矢の矢の部分には「無患子」といわれる植物が使われていました。
これが「むくろじ」と読みますが、このむくろじにはその漢字の意味合いから子どもが患うことがないという願いが込められています。
無患子の果実の中にある種に関しては羽子板の羽の部分にも使われており、ともに子どもの健康を願う縁起物として大切に考えられあつかわれてきました。
2.破魔弓は誰が買う?
では誰が破魔を贈るのかというと、昔からの習わしで妻側の実家からという場合が多いようですが、これはやはり地域によってもさまざまで最近ではこだわらずかわいい孫の縁起物ということで双方の実家が折半することもすくなくありませんし、男の子の場合ですので夫の実家が用意するという場合もあるようです。
どちらにしても子どもの幸せを願って贈るという気持ちには変わりありません。
だれが贈るのかということにこだわりがなくなってきているように、その材質においても種類が豊富になってきて選択肢が広がっています。
これまではやはり昔からの材質ということで、木製でかつ縁起を担ぎ無患子を用いて作られたものが多かったですが、最近ではプラスチック製の商品も一般的になっていますし飾りの羽においても天然のものであったり人工的な素材で代用したりとバラエティに富んでいます。
見た目の違いがありますので好みで選んで購入するのがよいでしょうしサイズもさまざまですので、どこに飾るのかで大きさを選択するようです。
3.破魔弓を飾る時期
飾る時期としては基本的にはお正月に飾ることになります。
お正月以外ですと端午の節句に節句人形とともに飾ることもありますし、具体的にはお正月でしたら12月の中ごろから飾りはじめ、1月の半ば15日ごろにしまうのがよいとされています。
これは昔の行事では12月13日が正月事始めとなっていますのでそれにともなってこの時期から飾りはじめのがふさわしく、1月15日にしまうのはこれが小正月を想定しているからです。
反対に飾り付けによくないとされる日としては12月29日と大晦日で12月29日は他のことに関しても避けたほうがよい日にちで「苦立て」といわれ昔から忌み嫌われていますし、大晦日は一夜飾りといわれ避けることが多いようです。
また1月15日は小正月で各地方でどんと焼きや左義長とよばれる火祭りなどが行われており、このころまでに仕舞う習慣になっているのは、一年中出しておくことは縁起が良くないとされているからです。
4.破魔弓の飾り方
破魔弓の飾り方としては、できるだけ人目に付きやすい場所で「凶」や「逢魔」の方角に飾るのが一般的で、昔の日本の家屋にある床の間に飾ることが多かったです。
ですがやはりこれも最近ではこだわりがなくなってきており、魔よけの意味が大切ですので人目に付く場所には飾りますが特に場所の決まりはなくなっていますし、そのままでは心もとないということでガラスなどのケースに入れたまま飾ることもあります。
男の子が何歳になるまで飾ればいいのかということですが、昔ですと数え年15歳の時に元服にちなんだ「立志式」がありましたのでこの年齢までが一般的ですが数えで15歳ですので実年齢では14歳ぐらいということになります。
破魔弓は確かに魔よけのお守りではありますがそのままずっと飾り続けるということはなく、男の子の成長により飾る必要がなくなった場合には保管しておいてもかまいませんがすっきりと処分を考えるのであれば、他のお正月の飾りなどと同様に神社で焼いてもらうという方法があります。
神社によってはそうしたことを受け付けていないところもありますので、確認しておまかせしましょう。
お守りやお雛様などと同じく縁起物ですので、処分する場合にも丁寧にあつかうことを忘れずに心を込めて処分することが大切です。
最終更新日 2025年6月10日 by kairak