ストック・オプションは、ストックつまり株式のオプションである権利を意味します。
そして多くの場合は、株式会社の役員やその従業員が自社株を決められた価格で購入することができる権利を指して用います。
働く人々にとってはインセンティブ的な意味合いを持つ
株式を購入することになる役員や従業員は、あらかじめ価格が決められた株式を購入することができるので、業績が上がり、株価が上昇した時に購入し、その株式を売却することで、差額の利益を手にすることができます。
そのため、働く人々にとってはインセンティブ的な意味合いを持ちます。
ストック・オプションは元々、株式や社債を売るためにアメリカで利用されていた手法でした。ですが、1970年代からはイギリスやドイツなどでも、その手法が広く取り入れられていきました。
日本で導入を目指して法律が整備されたのは、平成9年の5月の商法改正のタイミングです。
その後、段階的に法律が整備されたことで、上場企業が導入するケースが多くなりました。
そのことは、2007年に導入した上場企業の件数と比較し、10年後の2017年には2倍近くの導入が報告されていることからもよくわかります。
ストックオプションとは?導入について解説【非上場ベンチャー企業向け】
ストック・オプションの種類
注目されているストック・オプションですが、いくつかの種類があります。
■業務連動型
まず一つが、業務連動型とも言われる通常のタイプのものです。
これは権利行使価格を権利を付与する時の株価以上に設定し、業績を上げることで株価が上がり、そのことで利益を得られるような仕組みとすることです。
そのため、業績を上げるためのモチベーションにつながるので、役員や働く従業員へのインセンティブ的な意味合いが強くなります。
■株式報酬型
二つ目に挙げられるのが、株式報酬型です。
権利行使価格を1円など低額とし、権利を行使する株価のほぼ全額が利益となるようにするものです。
こちらは役員や従業員の退職金の意味合いで設定されることが多いタイプのものです。
■有償型
三つ目に挙げられるのが、有償型です。
有償型の場合、株式を購入することになる役員や従業員は、権利付与時にストック・オプションを購入する必要があり、権利行使時に株価が上昇していれば、差額の利益を手に入れられるという仕組みです。
有償型は株価の上昇を見る前に購入することになるのでハードルが高く、行使する条件として一定の業績を達成した時とされていることが多いようです。
ストック・オプションのメリット
ストック・オプションのメリットですが、まずは従業員の士気が上がることにあるでしょう。
自社の業績が上がることで株価が上昇することになり、自分の利益となるからです。
株価を上昇させるという共通の目標を持って業績を上げることにまい進できるので、会社全体の一体感が増すことは間違いありません。
また、優秀な人材の確保や囲い込みが可能になる点がメリットです。
明確なインセンティブがあるので、モチベーションが高い人材を確保しやすくなり、業績が上がる前に会社を辞めてしまうと言うことが避けられます。
また無償型の場合は特に、権利を付与された人のリスクが少ないことが良い点です。
権利を行使しなければ損失は発生しないからです。
ストック・オプションのデメリット
ストック・オプションのデメリットは、業績が下がることで株価が下がり、社員の士気が下がってしまう可能性があることです。
さらには、権利を付与されている人とそうでない人の温度差が生まれやすくなってしまうことです。
そのため、権利がどのような人に付与されるのかなどきちんと基準を設けて、不公平がないようにする必要があります。
さらなるデメリットとしては、制度のメリットに魅力を感じて入社した人は、権利を行使した後に会社を辞めるケースが出てくることです。
この場合、いくら優秀な人でもでも金銭的なメリットが感じられなくなると引き止めるのが難しくなってしまいます。